ライフログ
カテゴリ
全体 現場監督鍛錬塾 管理工務店が必要とされる理由 高齢者とケアリフォームを考える キーワードとしての「炎」 工務店の顧客対応を考える 耐震偽装問題と工務店 水難の相 死者と生者と工務店 山田脩二の軌跡 今度は風難 いつからなんだろう ワークショップの囁き声 現場監督鍛練塾開催決定 シンシアデビュー35周年 元気印のOM工務店? SAREX総会準備に青息吐息 シェフ・オオシマのオーメール MSDSはどこまで信頼できるか 「知術」世代の工務店 総会そしてワークショップ アエラと春樹とコメントと ワークショップで取り上げた本 この2週間的日々 ヒルトップ博士に教えられ 小池一三についてきれぎれに WEB大賞選考作業始まる 手荷物検査に引っかかる ネバーランドから天空の城へ 企画・設計力鍛錬塾 伊那谷日記 クレーム処理の悲惨 浜松 サン工房 ワークショップ 本日のお隣さん 4府県強行突破の旅 WEB大賞とブログ大賞 久しぶりづくし 0.5%市場で元気なビルダー ヒルトップ博士と4日間連続宴会 ワークショップでのショック 寝正月お薦め本 『不都合な真実』のプレゼン力 都心分譲マンション見学記 番匠塾解散会とワークショップ 「り」力を信じよ 80年代を偲ぶ 知術型工務店たちとの伴走 スナイパー延夫に眠らされる リフォーム上手な工務店とは 「がんばる工務店」見学 公開講座最終講義 東京流れ者 「どうでしょう」同好会員発見 彩都でリフォームを考えた ばらばらだけど一緒 暮らし方と品質 工務店の時代 完全オフタイム 「名工家」プロジェクト始動 岡庭建設オフィスツアー サイコロの旅 広島出発編 消費行為論としての家づくり 激闘!錦糸町 激闘!木造建築士模擬テスト 疫学的に健康環境を考えたい 非難するだけでいいのか 喫煙しつつ禁煙は可能なのか トコロテン的日々 コムスン問題と介護保険制度 想像力皆無に絶望 疫学的健康住宅研究委員会 「健康」という病 注意力散漫 マスター工務店連絡会議 灼熱のワークショップ 北へ 確認申請バラバラ事件 考える工務店 山中隆太郎一周忌にむけて 台風9号と直接対決だ、の巻 今度は塩原で合宿 住宅金融支援機構との勉強会 リーブ進の実践 小林伸吾グッドデザイン賞受賞 純粋工務店主義は硬直してないか 晩秋の強首温泉 松・藤研は濃い空気のままだった デキるビジネスマンは違う トライアングルパーティー やったぜ崇広 潮目の変化 道具を語らずして設計を語れるか 頼むから出てきてくれ 今年は何点? ノロウィルスには負けた 奇遇の日 西から北へ 焼かない瓦 熱血赤ペン先生 愚痴とどら焼き 金沢で悲憤慷慨居士に案内されて 小池さんからの疑念に対して ワークショップでヘロヘロ 忘れ物騒動 怒濤の年度末だけど 落ち込んでは駄目ですよ 発信してしまうネガティブ情報 濃霧警報解除 「木造建築士」資格を取ろう 後関さんのジャム ワークショップでの座席の並べ方 加藤泰の遺作 番外編 リンク
フォロー中のブログ
OMソーラーの家「Aib... 中里のひとり言 三代目のダイアリー 住まい造りは、天職だ! 吉田工務店 5秒クラブ SAREX事務局ブログ ... 信州で木の家づくり日記 コイワびと。 会長 小山祐司のLOHA... SAREX鍛錬塾 南信州木楽日記 IKEDA隊長BLOG 成長する家 子育て物語 hallelu-ya 太... 明子の部屋・別室nekko コバケン日記 鈴木工務店ブログ 成長する家 つれづれ日記 可喜庵亭主ブログ 創造の加子母(かしも)っ... 最新のトラックバック
以前の記事
その他のジャンル
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
|
2008年 06月 11日
薩摩という特性
さて、頑固なまでのシンケンスタイルに対して、当然だが客も飽きていない。 何故なんだろうか。 もちろん、フォルクス初期とは異なる。進化はしている。しかし、それは進化というより「漸進的差異化」と言うべきであろう。 主要な顧客層は、地域では絶対的な安心感のある教員など公務員層が中心だ。完全にプライバシーを担保している配置計画。奥行きを感じさせる植栽計画。得意の振り(曲がり)家配置。そして、開口の大胆な確保。たぶん、共働きが多く、夜の生活での愉楽を求める人々にとっては、真っ黒な外装は闇に溶け、開口からの灯が際立つだろう。そして、回廊性ゆえの清掃意識の持続、といった感じで、個としての生活と家族としての生活の渾然一体さと分離がゆるやかに空間として連なっている。 ▲シンボリックな階段 天井高との関係がきちんと計算されてもいる 例えば、知覧の郷士屋敷などが容易にイメージされる。さらには、もっと共同体的な、つまりは失われてしまった磁場的アイデンティティーの安定ということが提示されているからだろうか。そして、どんな生活をするのか、できるのかが、具体的なOB施主宅見学や見学会、勉強会を通じて、極めて明瞭な像を顧客に与えているようにも思われた。 私はてっきり手書きパースなどを多用しているのかと思ったが、CGパースと3Dプレゼンだった。でも、現実の物件の方が遙かに雄弁なのが、なにやら面白い。 ▲狭小敷地の木造3階 従って、ある程度の敷地を含めて、その全体性が彼の家づくりとして欠かせない。1つ見せていただいた狭小敷地での木造3階は、やはりシンケン的な家づくりの普遍はそこには無いことを理解させてくれた。 これはやはり「薩摩」という地域特性が生み出したものかも知れない。顧客の絞り込みも見事だ。これ以上の詳細は省くが、その戦略性の巧みさは、これはやはり「薩摩」という場所柄を抜きにしては語れない。 工務店かビルダーか ところで、シンケンは工務店か、というと迫自身も私も違和感を覚える。私たちの概念では、部品・空間・住居全体・にわそしてまちづくりを担う業態。そして、組織内の分業と連携とが完璧になされている業態を「地域ビルダー」と呼んでいる。そうした地域ビルダーは理念の中にしかないように思われていたが、このビルダー像をSAREXの工務店たちが示しはじめていた。規模という概念を取り払った形での「まちビルダー」という像である。 もっとも、地域ビルダー像を想定していた時は、その規模、つまりまちづくりまでを設計しうる力量が問題となったわけだが、シンケンはその意味で「地域ビルダー」と正しい意味で呼べる。もっとも迫に言わせれば「デザインビルダー」の方がいい、というかも知れない。「地域ビルダー」はローコスト、分譲に走って我々の「理念」の中にしか存在しなかったからだ。イメージの問題としては、現実的にはよくないから。 ▲現場清掃も徹底している 迫さんのシンケンという組織をその意味では「知術型ビルダー」と呼んでもいいかも知れない。デジタルにもっとも遠い顔をして、デジタル化をもっとも活用している。 これは、ビルダー的な組織形態の中で、迫思想の貫徹のための必須のツールだからだ。 そのビルダー的な体質の強化として、脱薩摩的なシンケンとしての勝負を今準備もしている。これには訳がある。薩摩は広い。家守りといっても片道2時間はざらにかかる場所にけっこう顧客が偏在する。このコストがバカにならない、と思われた。 1時間圏でシンケンファンを作り出すエリアへの進出が迫さんの新たな展開策のようだ。成長限界を見定めつつ、その進軍は密やかに、浸透的に進められるのだろう。 満足感をさらに高める非妥協的な姿勢 ところで、私には既にシンケンスタイルの時代は終わったようにも思われた。むしろ、シンケンカルチャーの時代へと向って進んでいるようにも思われた。 工務店レベルで言うとレベル7の内5をクリアし6から7へと向っている。 現場の管理も徹底している。顧客づくりのA作戦もB作戦も徹底している。何だか、私がこれまで新建ハウジングで書いてきたことを殆どやっている工務店が存在していて、内心、やはり理屈を詰めていっても、実践を詰めていっても結論的には視点は同じところに行くな、と齟齬の無さに改めて得心した。 このことは、SAREXの仲間にも言えることだが、ビルダーという規模でここまで徹底していることに組織としての凄味を感じた。 ▲やり直しを命じている風呂場からの庭づくり 「ここが気に入らんのです」と迫さんが示すのは、やはり引き渡し直前の温泉を引き込む浴室からの眺め。「こんな石を並べられて台無しです」。これから壊してやり直させるのだとか。これは、広い浴槽で、当然友人たちも入りに来る。その時の反応も迫さんは計算に入れている。 もちろん、庭、デッキと「部屋からの眺め(顧客)」「社会からの眺め」の両面をきっちり意識している。そこが住宅メーカーとの違いだろうか。 とりわけ、「社会からの眺め」つまりは通行人や訪問者が、その家の懐の深さを思えるような配置と庭づくりがなされていた。その点については実に細心である。 こういうやり方が顧客にはたまらないのだろう。ある面でマダムキラー、ある面で亭主キラー、そしてキッズキラーでもある。家族のどこからシンケン支持が強く出てくるのかわからないわけで、ちょっとした誰かの発言でシンケンに、ということはままある。そのことを迫さんは、というよりシンケンはよく知悉している。 全面勝利の姿を見せる もう一点。迫神話、シンケン神話が見込み客に浸透していく過程を見ると、「そこまででいいのか。そんなことで満足していいのか」ということをまず顧客に迫る。満足度を引き上げることに熱意を持てる客層だからこそ、そうした攻めができるのだが。 つまり、客は家づくりに対して、ある意味で後退戦を強いられている。適当な後退局面、膠着局面で満足度を得ようともする。 ▲シンケンカルチャー的な階段 多くの工務店は、その後退局面、膠着局面での「ま、こんな程度でいいよね」(多くの場合の共働き30代で、家づくりの煩雑性に疲れていたり、あるいはローコスト顧客層にも当てはまる)と「この程度満足度」を本当の満足度と考えてしまう。 しかし、迫さんは、その時に最前線に飛び出す。客をある意味で叱咤しつつ、全面勝利をするために妥協を許さない姿を見せるのだ。すると、客は家づくりでの「勝利」の場所というものが、まだ先にある、ということに気付き、前線で勝利を飾るシンケン軍に満足する、という構図が見えてくる。 従って、ここで客単価は必然として高くても納得するし、むしろ全面勝利感=シンケンで建てたという満足感が得られるような仕掛けがなされている。 「とにかく1つ、1つが大切なんです」という迫さんの言葉は、社員の隅々まで伝えようとしていることがよくわかる。その1つの種が花となり、新たな顧客へと花粉を運んでくれることを彼は熟知している。 そして「勝ち残り」などどケチなことは言わない。むしろ、彼がつくりたいのは「常勝軍団」であることがわかる。 いやはや面白い。 もちろん、私的に問題点を指摘することはできるが、その問題点は迫さん本人に直接伝えるべき性質のものだ。ま、大きなお世話的な事柄なのだが。 SAREX専務理事(㈱オプコード研究所所長) 野辺 公一
by KNOBEX
| 2008-06-11 18:04
|
ファン申請 |
||