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2010年 03月 29日
映画『ヤング@ハート』を観てびっくり。平均年齢80歳のじいさん、ばあさんが米国、マサチューセッツ州の小さな町でロック合唱団をはじめたのだ。
もちろん仕掛け人はいる。この人、ボブが凄いのだが、じいさんもばあさんもロックなんて全く関係ない生活をしていた人々。趣味はクラッシックを聞くこととか聖歌を聞くこと、なんていう人ばかり。 そのじいさんばあさんに「ロック」というある意味で困難な歌にチャレンジさせ、そしてそれを合唱団とする、という発想は「地域」ということを考えることの一つのヒントとして差し出されていると考えた。 何せ酸素ボンベを引きずりながらステージに上がるじいさん等々。いつ鬼籍に入るか分からぬ人々で構成されているロック合唱団。 ま、このドキュメンタリー映画には驚かされた。 その「ヤング@ハート」の日本公演がある、と聞きこりゃ何がなんでも、と土曜日に渋谷のオーチャードホールでのライブにでかけた。 いまや世界中からオファーがあり、ヨーロッパツアーをやったりするじいさんばあんさん。この間に何人の団員が交代していったのか。 そして、いま日本に来た。それをまずスクリーンで『インディジョーンズ』のイントロ的に写す。そしてスクリーンが上がると、そこにじいさんばあさんたち20人ぐらいがステージにあらわれる。 世話人であり、プロデューサーであり、指揮者でもあるボブ(ちりちり頭)は観客席側から鼓舞するように指揮をとる。 初端からローリング・ストーンズですよ。「無情な世界」ですよ。驚きですね。私、コンサートにいっても殆ど若者に混じって立って身体を動かすなんて恥ずかしくてできないのだが、第Ⅱ部に入るやそんなこと恥ってられない気分に。 だって、平均80歳のじいさんばあさんがステージで「ロック」してるんですよ。これに負けるわけにはいかんですよね。 第Ⅱ部の幕開けもまたよかった。映画『ヤング@ハート』(2007年イギリス映画)に出演して既に鬼籍に入った人々へのオマージュとして、スライドが写される。そしてⅡ部がスタート。Ⅱ部ではボブもステージに上がり直接的に指揮。一人一人のじいさんばあさんにホラ、ここだよといった感じで目でコミニュケーションしているのが分かる。 そして、日本公演に備えて、きっとボブが特訓させたのだろうけど「上を向いて歩こう」をまず出してきた。 これをおばあちゃんに謳わせたところが秀逸。でも、これはありがち、と思っていたら、「リンダリンダ」ですよ。もう興奮状態ですね。アメリカのじいさんばあさんが「リンダリンダ」ですよ。そして忌野清志郎ですよ。「雨上がりの夜空に」ですよ。さすがに清志郎になると日本語が怪しくなっていましたが、この選曲スゲー。そして、それをマスターするために努力したじいさんばあんさんたち。ロック合唱団やるぜー。 そして、彼らの基本モチーフである「For ever young」ボブ・ディランのカバーでぐっとしめる。どんなに年をとっても心はいつも若くありたい、という彼らの思いが歌に乗り移る。 もう、完全にヒートアップ。涙は出るは、手は痛くなるは、何なんだこの感動は、と思った。 なによりいいのは、全然ハモっていないところ。声も調子もバラバラである意味ノイズになっている部分。これロックですね。ビートルズも1曲入れていたけど、途中まであれ何の曲だっけ、という感じだった。でも凄いな。 これ日本で合唱団なんてやろうとすると絶対「唱歌」とかの合唱団になっちゃう、と思う。事実そうだし。自分たちが過去耳にしてきた音楽を再び楽しむ、という形になる。もちろんそれもありだろう。 しかし、さすがにアメリカですね。じいさんばあさんに「挑戦」させるんですから。明日、本当に死んでしまうかもしれぬリスクを抱えつつ諦めず挑戦し続ける。これもまた後期高齢者としての生き方だな、と思った。 そして、この合唱団が1982年に小さな町の高齢者住宅に住むじいさんばあんさんたちからスタートした、ということも頭に入れておきたい。「地域」という実相を考える時、この合唱団は別な様相から考えることを強いる。 ま、ステージは終わりましたが、この公演によって映画も上映されている。もしくはdvdで是非観て観て下さい。 SAREX専務理事(㈱オプコード研究所所長) 野辺 公一
by KNOBEX
| 2010-03-29 11:44
| 番外編
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